「リゾートあわトレイン＆SL内房100周年記念号」乗り鉄旅(前編)

平成24年、内房線と久留里線が開業100周年となるのを記念して、2月10～12日の3日間、千葉みなと～木更津間で、「DL内房100周年記念号(千葉みなと行き)｣と「SL内房100周年記念号(木更津行き)」が運転されました。「DL/SL内房100周年記念号」は昨年動態復元された「C61形蒸気機関車20号機」と旧型客車7両とDE10形ディーゼル機関車｣による運転（DE10形はDL内房100周年記念号の全区間と、SL内房100周年記念号の千葉みなと～蘇我間）。房総地区でSLが走るのは、平成21年の「SL春さきどり号」以来3年ぶり。そのときは「C57-180」でしたから、「C61-20」が房総地区を走るのが今回が初めてとなります。　「SL内房100周年記念号」は全車指定席ですが団体専用列車ではないため、指定席はみどりの窓口等で販売されます。しかしながらこのようなイベント列車は競争率がとても高く、発売開始から一瞬で満席となることが予想されます。そのうえ「SL内房100周年記念号」の乗車と宿泊や記念弁当などをセットにした旅行商品が販売されるということで、座席の多くはこの旅行商品分に確保され、みどりの窓口で一般販売される枠はわずかでしょう。　確実に「SL内房100周年記念号」に乗車するのであれば、この旅行商品を申し込むのが最善の方法と言えます。しかしながら旅行商品の受付けは2人から。ひとり旅の多い私にとっては手が出るものではありませんでした。しかし今回はこの乗り鉄旅に同行してくれる人(Yさん)がいて、思い切って旅行商品の購入を決意。発売日初日の平成23年12月22日、旅行会社に向かいました。当初は同時期に館山～安房鴨川間を走る｢リゾートあわトレイン｣の乗車と宿泊をセットにしたプランを注文したのですが、宿泊施設が満室だということで断念。海浜幕張のホテルに前泊し、翌日に「SL内房100周年記念号」に乗車するプランとしました。　今回の乗り鉄旅では前述のプランに追加して、ホテルに宿泊する前に、千葉県内のJRと銚子電鉄、小湊鉄道、いすみ鉄道など一部の私鉄に1日乗り放題の期間限定トクトクきっぷ「パワフル×スマイルちばフリーパス」を別に購入して｢リゾートあわトレイン｣にも乗車。1泊2日の房総乗り鉄旅となりました。
蘇我駅にて東京・海浜幕張駅から乗車してきた京葉線E233系(左)と安房鴨川駅まで乗車する209系
旅のスタートは東京駅。まずは旅行商品で含まれている海浜幕張駅までの乗車票(乗車券)を使用。海浜幕張駅でいったん下車して｢パワフル×スマイルちばフリーパス｣を購入して後続の京葉線で蘇我駅まで向かいました。蘇我駅からは外房線経由で安房鴨川まで普通列車で約2時間の旅となります。　蘇我駅で乗り換え電車を待っていると、駅のコンコースでは「SL内房100周年記念号」の運転を記念した入場券セットが販売されているのを発見。温泉好きの収集鉄さんに電話をしてみると1セットの注文。早速購入させていただきました。　蘇我駅を10:16に出発する安房鴨川行きの普通列車は209系6両編成。すでに外房線・内房線を走る普通列車は、総武本線や京葉線からの直通列車を除くと209系に統一されたようで、途中すれ違う普通列車はすべて209系でした。現在、房総各線を走る209系は、元々、京浜東北線で活躍していた車両。房総各線へ配置転換されるにあたり、先頭車のセミクロスシート化、トイレの設置などの改造が施されています。蘇我駅乗車直後はボックスシートで他の乗客と相席でしたが、木更津あたりで車内は空き、2人で4人がけのボックス席を独占することができました。　待ってましたとばかりにYさんが缶ビールを開けてグビグビ。私は酒が全くダメなので、酒にありつけて幸せそうなYさんを眺めるのみ。安房鴨川までの約2時間で缶ビール2本を完飲。おいおい、乗り鉄はまだまだこれからもあるよ。ペース早いんじゃない？
安房鴨川駅	リゾートあわトレインは安房鴨川駅3番線から出発
｢リゾートあわトレイン｣は南房総ふるさと素材発信列車というのがコンセプト。車内ではイベントスペースで南房総地域ならではの地元特産品(切花や弁当、地ビールなど)や太鼓演奏などのイベントを実施。一部の駅でも地元特産品の販売があり、長時間の停車をしてゆっくり買い物を楽しむこともできます。
リゾートあわトレインの指定席　座席とお座敷の両方が楽しめます
｢リゾートあわトレイン｣は6両編成のうち、イベントスペースが2両で残り4両が乗客の座席スペースとなります。そのうち3両が指定席、1両が自由席という構成。自由席はボックス席が並んでいますが、指定席は車内の片側はボックス座席、もう一方にはお座席スペースと、なんとも特徴的な内装となっています。指定席は座席部のみに割り当てられ、お座敷は指定席を持つ人であれば自由に利用できるフリースペースとなっています。　｢リゾートあわトレイン｣に使用されている車両は｢ニューなのはな｣というジョイフルトレイン。臨時列車の他に団体貸切の専用列車などに使用され、車内は用途に合わせ、座席にもお座敷にもできるというユニークな車両。これまでも｢リゾートあわトレイン｣は何度か運転されているのですが、ご覧のような座席とお座敷の両方を使用して運転するのはおそらく今回が初めてと思われます。｢ニューなのはな｣の特徴を存分に活かしたうえでの運行となっています。　安房鴨川駅に12:15に到着して、リゾートあわトレインの出発は12:42と、27分の乗り換え待ち。待ち時間を利用して駅前のスーパーで飲食物を調達。乗り換え時間が十分あると余裕ぶっこいて店内を物色していて、レジを済ませて時計を見ると、リゾートあわトレイン出発時刻の4分前！　あれあれ～？　これってヤバくね？　小走りで駅へ戻り、跨線橋を渡ってリゾートあわトレインが待つホームへの階段を下りていると、なんと発車ベルが鳴り始めるではありませんか。うへっ、ギリギリセーフ(汗)。レジにあと1、2人行列が長かったら、リゾートあわトレインに乗り遅れていたってことですか？　「ぶらり」ならぬ、｢ヒヤリ冷り途中下車の旅｣となったのでした。
リゾートあわトレインの運転席	リゾートあわトレインの車窓車内から海を一望
私が確保した指定席は1号車へ向かうと、車内は10名足らずの乗客の姿。定員は20名程度ですからずいぶんガランとした印象です。「SL内房100周年記念号」と「リゾートあわトレイン」を組み合わせる乗り鉄さんが多いのかな？と予想していましたが、こんなにガラガラだったことに少し拍子抜け。客層もコテコテの乗り鉄さんと思われる人はそれほど多くなく、主婦の団体さんや家族連れが多かったかな？　早速、お座敷のフリースペースに座ってお昼ごはん。私はYさんが作ってきてくれた雑炊とスープをいただき、るれはここでも駅前のスーパーで買ったチューハイをグビグビ。　太海～江見間は進行方向の左側に海が見える絶景スポットが続きます。列車はこの場所を徐行運転して景色を十分堪能することができるようになっています。私は列車の窓越しに広がる海をイメージしてシャッターを何回か切りましたが、仕上がりはどれも「う～ん…」といった感じ。走行しているうちに列車は速度を上げ、海も遠ざかってしまいました。ちょっと心残りを感じていると「リゾートあわトレイン」は和田駅に到着しました。
和田駅に停車中の｢リゾートあわトレイン｣
和田浦駅の駅舎	和田駅ホームでは「南房総スイーツ市」
和田浦駅には12:59に到着。出発は13:23ですので24分の停車時間を設けられています。和田浦駅ではホーム上で「南房総スーツ市」を実施。ホームの一角に机を広げ、南房総のお菓子が販売されていました。ここで私はホームに停車中の｢リゾートあわトレイン｣を撮影することに。なんせ安房鴨川駅では出発時間ギリギリで飛び乗ったため、車両の撮影なんてできませんでしたからね。ここで列車や和田浦駅の駅舎の撮影を楽しみました。　リゾートあわトレインが和田浦駅を出発すると、4号車のイベントスペースで太鼓の演奏が行われるとの告知がありましたが、全く興味のない私もYさんもそのままお座敷に座りボケーッ。多くの乗客が太鼓の演奏見物に向かったため、ガラガラだった車内が一層ガラガラに。しばし車内にゆっくり、ゆったりした時間が流れました。

リゾートあわトレインと
ダッペー

千倉駅に停車中の「リゾートあわトレイン」

千倉駅の駅舎

千倉駅のホームでは「南房総グルメ市」が開催

　千倉駅には13:36に到着して14:13に出発。37分の停車時間があります。駅ホームでは｢南房総グルメ市｣が開催。南房総の名物であるイカメンチやさんが焼き、びわカレーパン、くじら商品などの販売されていました。事前にリゾートあわトレインのパンフレットを入手していた私は気になるものがありました。それは｢びわカレーパン｣。館山の名物｢びわ｣とカレーパンのコラボ。早速購入して試食してみました。お味といえば…、普通のカレーパンじゃん。・・・いや違う。パンのなかのカレーがすごくジューシー。別の表現をすると水っぽい。・・・すまん、ボキャブラリが少なくて。こんなんじゃ、グルメレポーターになれないなぁ。なることもないだろうけど…。

　もう一つ気になっていたものが｢くじら商品｣というもの。私もYさんも学校の給食で｢くじらの竜田揚げ｣が出ていたねという会話が成立する世代。久しぶりにくじらの味を思い出してみたかったのですが、クジラの缶詰のお値段が600円以上と結構なお値段で…。ご飯も食べて私はおなかがいっぱい、Yさんはアルコールでおなかいっぱい(？)でスルーしたわけで…。

館山駅に到着した「リゾートあわトレイン」

　「リゾートあわトレイン」は終点の館山駅に14:25に到着。一般の普通列車であれば、安房鴨川～館山の所要時間は30分少々ですが、リゾートあわトレインは約1時間40分かけて走行。車内は空いていてゆったり、待ったりの乗り鉄旅でした。

館山～海浜幕張は｢特急さざなみ10号｣を利用

海浜幕張に到着
1日目の乗り鉄旅が終了しました

　館山駅からは特急列車で本日の宿泊場所の海浜幕張駅まで行くことにしました。｢パワフル×スマイルちばフリーパス」は特急料金のみ追加すれば特急にも乗車可能。しかも館山～海浜幕張間の自由席特急料金は900円。同区間の所要時間は特急でも1時間35分かかりますからお得なんじゃないでしょうか？　普段は青春18きっぷの旅ばかりで特急に乗ることが少ない私にとっても、絶好の特急列車の乗車チャンスです。

　特急さざなみ10号はE257系500番台が担当。Yさんいわく｢こわい顔だね｣。たしかにヘッドライトの部分がつり上がった目みたいだね。特急さざなみ10号は館山駅を16:05に出発。せっかくの特急列車の乗車でしたが、車中ではほとんど寝てしまって記憶なし。あ～、もったいない…。

　海浜幕張駅には16:40に到着。本日の宿泊地である｢APAホテル＆リゾート東京ベイ幕張｣へ。よういされたお部屋は17階。部屋に入りカーテンを開けると正面には千葉マリンスタジアム、左に太平洋、右に幕張メッセ。さらに正面に東京スカイツリーが遠望。左手はるか遠くには富士山がくっきりと浮き上がるという、これまた絶好のロケーションでした。

　しかしその夜、ちょっとした心配事が…。Yさんが頭が痛いとのこと。さらに気持ち悪い、寒いと訴えてとても調子が悪そう。う～ん…、日中、結構飲んでいたからなぁ…。悪酔いだけならいいんだけど、インフルエンザやノロウィルスが流行中のこの時期、不安がよぎります。ホテルのサービスカウンターで毛布を借りて、近くのお店でカイロや頭痛薬を購入。今日は早く寝ようね。明日、体調が回復するのを祈って…

宿泊した部屋の窓からの展望

出発駅		到着駅	使用列車
東京 9:02	～	海浜幕張 9:32	E233系10両快速蘇我行き
海浜幕張 9:47	～	蘇我 9:59	E233系10両快速蘇我行き
蘇我 10:16	～	安房鴨川 12:15	209系6両普通安房鴨川行き
安房鴨川 12:42	～	館山 14:25	リゾートあわトレイン館山行き
館山 15:04	～	海浜幕張 16:40	E257系500番台5両特急さざなみ10号

○ブログ「列車とともに・こぼれ話」では、旅日記本編で書ききれなかった話題をご紹介しています。ぜひ、こちらもご覧ください。
１．SL内房100周年記念号記念入場券セット
２．【255系】千葉ご当地キャラクターラッピングトレインを安房小湊駅で目撃
３．【209系】「内房線・久留里線開業100周年記念」ラッピングトレインに遭遇～館山駅にて～