常総新花火　未来へつなぐ想いをかたちに

長引くコロナ禍にあって常総きぬ川花火大会は3年連続の中止。それに代わる花火イベントとして常総青年会議所が主体となった「常総新花火」が開催されることになりました。プログラムは8社の花火業者が参加するいわゆる競技会形式ですが、特徴なのは参加条件を青年会議所の会員資格と同じ40歳以下の花火師に限定していること。若手花火師による創作ミュージックスターマインと創作尺玉のコンクールがメインとなります。　会場も例年の水海道の橋本運動公園ではなく、鬼怒川堤防決壊の碑がある特設会場で実施。『次世代を担う若手花火師の挑戦心と自由な発想による未来に向けた想いを込めた花火を鬼怒川堤防決壊の碑にて披露し、水害からの復興を後世に伝えていくこととともに、来年の常総きぬ川花火大会をより価値のある大会へと昇華させていくこと』が常総新花火への想いとして公式webサイト内に花火イベント実施の意義が込められています。　最寄り駅は関東鉄道の南石下駅。常総きぬ川花火大会の水海道駅と同じ路線ですが、大きな違いは輸送力。水海道以南は複線で花火大会の日には臨時列車が多数運行されるのに対し、南石下駅がある水海道駅以北は単線で運転本数も少なく増発にも限界がある。特に花火終了後、駅に客が集中して長時間の待ちを強いられることもあるのです。　そこで主催者が出した答えが、つくばエクスプレスの万博記念公園駅と常総市役所石下庁舎を結び、チケット購入者のみが利用できるシャトルバスの運行。公式webサイトの会場案内では、電車による来場者に対して、南石下駅からの徒歩という記述は当初にはありましたが、シャトルバス運行決定後はなくなり、シャトルバスのみの案内に切り替えられることになりました。　往路は万博記念公園駅に14:30頃到着。シャトルバスは観光バスタイプで立ち席はない。それでも座席がすべて埋まることはなく出発。途中の道路も渋滞なく約20分で石下庁舎に到着。ここから会場まで徒歩約20分…のはずが、いつもの通り道に迷い30分以上かかってしまい、現地に到着したのは15:30過ぎでした。
万博記念公園駅前のロータリーで待機するシャトルバス
常総市役所石下庁舎前シャトルバス乗り場

鬼怒川堤防決壊の碑
今回購入したチケットはカメラマン席（4,000円）。常総きぬ川とは異なり、花火打上げ場所に対して正面ではなく、北側に約350mずれた区域に設定されていて花火を斜めに見る格好になるらしい。打上げ場所の正面は堤防道路上に4人定員のマス席（25,000円と20,000円）、河川敷斜面にエキサイトエリア（3,000円）があり、エキサイトエリアであればチケット代金もまずまずでしたが、斜面上での長時間の待機と観覧は足腰にきそう。斜面用の段ボール椅子が別途購入すれば快適度が改善しそうですが、エリア内自由なのでよさげな場所はすぐ埋まってしまいそう。カメラマン席は区画指定なので選びようがありませんが、自分の観覧場所が確保されているので安心感がある。斜め位置になってしまうというデメリットのためか、200区画用意されたカメラマン席はチケットが販売開始から1週間経過しても売切れになることなく、余裕で購入できてしまいました。
観覧場所（カメラマン席）から花火打上げ方向を見る
カメラマン席（向かって右側は通路）

会場内にあった道の駅常総PRブースではお米や野菜のプレゼント「千姫を大河ドラマに」と誘致しているPRブースではお茶をいただきました
気になるカメラマン席からの見え方は、ワイドスターマインであればそれほど違和感はありませんでしたが、コンクールのスターマインは業者によって花火設置場所が異なり、特に向かって左端から打ち上がったときは、遠くてワイド感が削がれてしまいました。また花火打上げ中は天候に恵まれたものの、当日午前中に降っていた雨による湿気のせいか霞んでしまったり、少し物量があると煙が充満してしまったり。さらにフィルタが結露してしまったりの三重苦。せっかくの良質な花火が万全の条件で見ることができなかったのが残念でならない。　大曲や土浦のスターマイン競技がトラの斜め打ちなどが禁止されているのに対し、新常総のそれは制限がなかったようで、出品各社で変化があり飽きがこないプログラムでよかった。
カウントダウン付オープニングスターマイン開幕！ようこそ常総新花火へ野村花火工業
カウントダウン付オープニングスターマイン開幕！ようこそ常総新花火へ野村花火工業
煙が滞留したため途中何度か煙待ちの時間がありましたが、そのときの会場アナウンスも印象に残りました。煙待ちで花火が打ち上がらない時間の場つなぎで、手持ちのうちわやパンフレットを振って滞留した煙を吹き飛ばそうとする、どこかの花火大会でも聞いたことがある例のやつ。どこかの花火大会ではアナウンスの方が「パタパタパタパタ～」という掛け声があるのですが、ここでは「そよそよそよそよ～」と若干アレンジされていたのにはニヤリとしてしまいました。
コンクールNo.1　尺玉の部昇曲導付市松紋様花丸玉屋小勝煙火店　上津康平	コンクールNo.2　尺玉の部旭日山﨑煙火製造所　石井稔
コンクールNo.3　尺玉の部昇曲導付五重芯変化菊野村花火工業　島野達	コンクールNo.3　スターマインの部風の戯れ野村花火工業　島野達
コンクールNo.4　尺玉の部異界に咲く花北日本花火興業　今野貴文	コンクールNo.4 スターマインの部 JUPITER～歳星の歌声～北日本花火興業　今野貴文
コンクールNo.5　尺玉の部光のオブジェ磯谷煙火店　野崎慎司	コンクールNo.5　スターマインの部波の記憶磯谷煙火店　野崎慎司
エキシビジョンワイドスターマイン～WE ARE THE ONE～ココロヒトツニ野村花火工業
コンクールNo.6　スターマインの部平和願いて花は咲くマルゴー　長廻睦
コンクールNo.8　尺玉の部陰と陽紅屋青木煙火店　西澤公介	コンクールNo.8　スターマインの部 NEVER SAY GOODBYE 紅屋青木煙火店　青木大典
スペクタクル花火ショー THE JOSO SHIN HANABI 2022 ～未来へつなぐ想いをかたちに～山﨑煙火製造所
スペクタクル花火ショー THE JOSO SHIN HANABI 2022 ～未来へつなぐ想いをかたちに～山﨑煙火製造所
前述のとおり煙待ちが何回かありましたが、最後のプログラム打上げ終了は19:24と予定よりも少し早め。そして主催者の常総青年会議所理事長への感謝と社長就任のお祝いと題し、青年会議所メンバーによるサプライズ企画として青一色のワイド打上げで打止め。終了後は片付けをしてバス乗り場へ。帰りは迷うことなくバス乗り場には20:10頃に到着。5分ほど待ってバスは出発。帰りもバス待ちの行列も途中の渋滞も皆無で万博記念公園駅に到着することができました。
常総青年会議所理事長への感謝と社長就任お祝いサプライズ花火
終了後の公式webサイトでは、収入が予算に達しておらず寄付を募っていて、もし予算を超える寄付があった場合は来年の常総きぬ川花火大会へ寄付することが告知されていました。ということは常総新花火は今回1回限りの企画なのでしょう。しかしながら、尺玉の打上げ、400mワイドのスターマインと常総きぬ川花火大会にはないロケーションはもったいない。鬼怒川堤防決壊の碑で実施する花火大会は復興を象徴するイベントにもなりうる。できれば、従来の水海道と石下の両方で毎年実施されるのが一番ですが、それが無理ならば、たとえば川越のように1年おきに開催場所を変えて実施して、水海道では従来のプログラム、石下では今回のようなコンクール形式で開催するというのも面白いと思うのですが…。言うは易く行うは難し…かな。

長引くコロナ禍にあって常総きぬ川花火大会は3年連続の中止。それに代わる花火イベントとして常総青年会議所が主体となった「常総新花火」が開催されることになりました。プログラムは8社の花火業者が参加するいわゆる競技会形式ですが、特徴なのは参加条件を青年会議所の会員資格と同じ40歳以下の花火師に限定していること。若手花火師による創作ミュージックスターマインと創作尺玉のコンクールがメインとなります。　会場も例年の水海道の橋本運動公園ではなく、鬼怒川堤防決壊の碑がある特設会場で実施。『次世代を担う若手花火師の挑戦心と自由な発想による未来に向けた想いを込めた花火を鬼怒川堤防決壊の碑にて披露し、水害からの復興を後世に伝えていくこととともに、来年の常総きぬ川花火大会をより価値のある大会へと昇華させていくこと』が常総新花火への想いとして公式webサイト内に花火イベント実施の意義が込められています。　最寄り駅は関東鉄道の南石下駅。常総きぬ川花火大会の水海道駅と同じ路線ですが、大きな違いは輸送力。水海道以南は複線で花火大会の日には臨時列車が多数運行されるのに対し、南石下駅がある水海道駅以北は単線で運転本数も少なく増発にも限界がある。特に花火終了後、駅に客が集中して長時間の待ちを強いられることもあるのです。　そこで主催者が出した答えが、つくばエクスプレスの万博記念公園駅と常総市役所石下庁舎を結び、チケット購入者のみが利用できるシャトルバスの運行。公式webサイトの会場案内では、電車による来場者に対して、南石下駅からの徒歩という記述は当初にはありましたが、シャトルバス運行決定後はなくなり、シャトルバスのみの案内に切り替えられることになりました。　往路は万博記念公園駅に14:30頃到着。シャトルバスは観光バスタイプで立ち席はない。それでも座席がすべて埋まることはなく出発。途中の道路も渋滞なく約20分で石下庁舎に到着。ここから会場まで徒歩約20分…のはずが、いつもの通り道に迷い30分以上かかってしまい、現地に到着したのは15:30過ぎでした。
万博記念公園駅前のロータリーで待機するシャトルバス
常総市役所石下庁舎前シャトルバス乗り場

鬼怒川堤防決壊の碑
今回購入したチケットはカメラマン席（4,000円）。常総きぬ川とは異なり、花火打上げ場所に対して正面ではなく、北側に約350mずれた区域に設定されていて花火を斜めに見る格好になるらしい。打上げ場所の正面は堤防道路上に4人定員のマス席（25,000円と20,000円）、河川敷斜面にエキサイトエリア（3,000円）があり、エキサイトエリアであればチケット代金もまずまずでしたが、斜面上での長時間の待機と観覧は足腰にきそう。斜面用の段ボール椅子が別途購入すれば快適度が改善しそうですが、エリア内自由なのでよさげな場所はすぐ埋まってしまいそう。カメラマン席は区画指定なので選びようがありませんが、自分の観覧場所が確保されているので安心感がある。斜め位置になってしまうというデメリットのためか、200区画用意されたカメラマン席はチケットが販売開始から1週間経過しても売切れになることなく、余裕で購入できてしまいました。
観覧場所（カメラマン席）から花火打上げ方向を見る
カメラマン席（向かって右側は通路）

会場内にあった道の駅常総PRブースではお米や野菜のプレゼント「千姫を大河ドラマに」と誘致しているPRブースではお茶をいただきました
気になるカメラマン席からの見え方は、ワイドスターマインであればそれほど違和感はありませんでしたが、コンクールのスターマインは業者によって花火設置場所が異なり、特に向かって左端から打ち上がったときは、遠くてワイド感が削がれてしまいました。また花火打上げ中は天候に恵まれたものの、当日午前中に降っていた雨による湿気のせいか霞んでしまったり、少し物量があると煙が充満してしまったり。さらにフィルタが結露してしまったりの三重苦。せっかくの良質な花火が万全の条件で見ることができなかったのが残念でならない。　大曲や土浦のスターマイン競技がトラの斜め打ちなどが禁止されているのに対し、新常総のそれは制限がなかったようで、出品各社で変化があり飽きがこないプログラムでよかった。
カウントダウン付オープニングスターマイン開幕！ようこそ常総新花火へ野村花火工業
カウントダウン付オープニングスターマイン開幕！ようこそ常総新花火へ野村花火工業
煙が滞留したため途中何度か煙待ちの時間がありましたが、そのときの会場アナウンスも印象に残りました。煙待ちで花火が打ち上がらない時間の場つなぎで、手持ちのうちわやパンフレットを振って滞留した煙を吹き飛ばそうとする、どこかの花火大会でも聞いたことがある例のやつ。どこかの花火大会ではアナウンスの方が「パタパタパタパタ～」という掛け声があるのですが、ここでは「そよそよそよそよ～」と若干アレンジされていたのにはニヤリとしてしまいました。
コンクールNo.1　尺玉の部昇曲導付市松紋様花丸玉屋小勝煙火店　上津康平	コンクールNo.2　尺玉の部旭日山﨑煙火製造所　石井稔
コンクールNo.3　尺玉の部昇曲導付五重芯変化菊野村花火工業　島野達	コンクールNo.3　スターマインの部風の戯れ野村花火工業　島野達
コンクールNo.4　尺玉の部異界に咲く花北日本花火興業　今野貴文	コンクールNo.4 スターマインの部 JUPITER～歳星の歌声～北日本花火興業　今野貴文
コンクールNo.5　尺玉の部光のオブジェ磯谷煙火店　野崎慎司	コンクールNo.5　スターマインの部波の記憶磯谷煙火店　野崎慎司
エキシビジョンワイドスターマイン～WE ARE THE ONE～ココロヒトツニ野村花火工業
コンクールNo.6　スターマインの部平和願いて花は咲くマルゴー　長廻睦
コンクールNo.8　尺玉の部陰と陽紅屋青木煙火店　西澤公介	コンクールNo.8　スターマインの部 NEVER SAY GOODBYE 紅屋青木煙火店　青木大典
スペクタクル花火ショー THE JOSO SHIN HANABI 2022 ～未来へつなぐ想いをかたちに～山﨑煙火製造所
スペクタクル花火ショー THE JOSO SHIN HANABI 2022 ～未来へつなぐ想いをかたちに～山﨑煙火製造所
前述のとおり煙待ちが何回かありましたが、最後のプログラム打上げ終了は19:24と予定よりも少し早め。そして主催者の常総青年会議所理事長への感謝と社長就任のお祝いと題し、青年会議所メンバーによるサプライズ企画として青一色のワイド打上げで打止め。終了後は片付けをしてバス乗り場へ。帰りは迷うことなくバス乗り場には20:10頃に到着。5分ほど待ってバスは出発。帰りもバス待ちの行列も途中の渋滞も皆無で万博記念公園駅に到着することができました。
常総青年会議所理事長への感謝と社長就任お祝いサプライズ花火
終了後の公式webサイトでは、収入が予算に達しておらず寄付を募っていて、もし予算を超える寄付があった場合は来年の常総きぬ川花火大会へ寄付することが告知されていました。ということは常総新花火は今回1回限りの企画なのでしょう。しかしながら、尺玉の打上げ、400mワイドのスターマインと常総きぬ川花火大会にはないロケーションはもったいない。鬼怒川堤防決壊の碑で実施する花火大会は復興を象徴するイベントにもなりうる。できれば、従来の水海道と石下の両方で毎年実施されるのが一番ですが、それが無理ならば、たとえば川越のように1年おきに開催場所を変えて実施して、水海道では従来のプログラム、石下では今回のようなコンクール形式で開催するというのも面白いと思うのですが…。言うは易く行うは難し…かな。